遺産分割と協議のポイント!
どんな話し合いの場合でも、お互いの意見を聞く姿勢は、大切です。遺産分割で中心的な役割を果たす相続人(長男や長女など)は、まず、遺産分割協議の進行方法について、他の相続人の意見を聞く姿勢を忘れてはいけません。いきなり用意した分割案を提示することは避け、誠実な態度で先祖代々の土地を守らせてほしい旨のお願いをする姿勢を表すことが大切です。
ここでは、遺産分割協議の進め方のポイントをご紹介いたします。- 1.他の相続人の意見を聞く姿勢を示しましょう
-
- 遺産分割で中心的な役割を果たす相続人は、すべての相続人と直接会い、遺産分割協議の進め方について、各相続人の意見を聞きます。
全員が一堂に会してもいいし、個々に会ってもいいでしょう。何か相続について、主張したい人がいる場合は、個別にあったほうがよいと思われます。 - 事前に、相続についての専門知識を有する行政書士などの意見を聞いて方向性の話し合いをしておくこともよいでしょう。
- 遺産分割協議方法について叩き台となる原案を作成します。
- 相続人全員に集まってもらい、作成した遺産分割協議原案を全員に確認してもらい、その場で、意見を話し合ってもらいます。
意見がまとまらない場合や、異議がある場合は、専門知識を有する行政書士などを交えて、個々に別途話し合いを持ってもらいましょう。
- 遺産分割で中心的な役割を果たす相続人は、すべての相続人と直接会い、遺産分割協議の進め方について、各相続人の意見を聞きます。
- 2.生前贈与財産やみなし相続財産は、民法と相続税法で考え方が違います
- 相続税額の計算時には相続税評価額を用いて計算しますが、財産の種類によっては相続税評価額と、実際の時価が大きく異なる場合があります。たとえば、借地権や底地などは相続税評価額では更地とした評価額を借地権割合に乗じてそれぞれの価額を計算します。しかし、現実に借地権、底地と別々に売買するときは相続税評価額のような価額では売買できず、もっと低い価額になります。
そこで、遺産分割にあたっては、実際の時価を基準に財産を評価し、分割するようにします。その場合、遺産のなかには時の経過とともに価格が変動するものがあります。相続は公平に行なわれるのがもっとも大切ですので、分割の時点の時価にすることがよいでしょう。 - 3.生命保険金は、原則として遺産分割の対象となりません
- 生命保険金は受取人が決まっている場合、原則として保険金受取人の手に渡ります。生命保険金は遺産分割協議の対象財産ではないのです。
たとえば、遺産総額が1億円(生命保険金1億円、その他財産1億円)ある父親がいたとしましょう。父親が1億円の生命保険に加入して、受取人を長男にした場合、遺産分割協議の対象となるのは1億円で、生命保険金の1億円はそっくり長男に渡ります。 - 生命保険金と相続の詳細ページ−現在準備中
- 4.土地には収益を生む土地とそうでない土地があります。
- 遺産分割を行なうときに、土地の財産価値は誰も注意するでしょう。しかし、土地が収益を上げるかどうかという点については見逃されることが多く、遺産分割後に問題になるケースがあります。
たとえば財産価値3,000万円の土地が2つあります。一方の土地は駐車場として利用でき、年間200万円の現金収入が上がります。もう一方は、誰も借りてくれません。同じ3,000万円の土地なのですが、収益性で見ると随分違います。しかし、分割協議のときには財産価値にだけ目がいきがちですのでこの点は注意しましょう。
つまり、土地には、収益を生み出す土地と、そうではない土地があるということです。遺産分割協議の時には、財産価値と収益性の両方を考えることが大切となります。たとえば財産価値3,000万円で収益性はゼロの土地と、財産価値2,000万円でも10年間に2,000万円の現金収入のある土地なら十数年後には価値が逆転するという判断もできます。このような視点で分割協議を行なうとよいでしょう。 - 5.相続税には連帯納税義務があります
- 税務当局が、ある相続人について納税は不可能と認めた場合には、その他の相続人で税金を負担する必要があります。
連帯納税義務が発生するほとんどの場合は、遺産は相続したけれど使ってしまい、相続税を納められなくなってしまったというケース、もしくは、もともとあった借金の返済に相続した財産を充ててしまったというケースです。 このように相続税の支払いにあてる財産が全くない場合のみ、税務当局も本人に相続税を支払う資力がないことを認め、その他の相続人が連帯納税の義務を負うことになります。 連帯納税義務によって相続税を支払えない人の分の税金を肩代わりすることを防ぐための唯一の方法は、相続税を支払えない相続人に対してはじめから相続財産を渡さないことです。そのためには自分以外の相続人がどのぐらいの負債をかかえているのかを、ある程度把握しておかなくてはなりません。